東大化学対策 ①勉強戦略
塾とのイタチごっこの末に…
今回から2回に分けて,東大化学の攻略法について記していきたいと思います。
まず今回は,「どういう点に注意しながら勉強を進めれば良いか」という話をします。
基本的な勉強法と使用教材は医学部と同様なので,まずは【医学部化学対策① 総論】から始まる4本の連載を読んでみてください。その上で,東大ではどういう点に注意して勉強すればよいか,を追加解説していきます。
「客観的な目」で12年間観察してきました
私は大学の専門が生物なので,東大化学については「客観的」な目で12年間みてきました。
自分の大学専門分野だと,骨の随まで究めたくなるものですので,どうしてもすべてを攻略したくなるのだと思います(生物ではそうなりすぎないように気をつけています…)。
私はそういう視点ではなく,「どうしたら点が取れるか」という視点でずっと観察してきた,ということになります。
高校化学で難問出題すると,大学範囲無理ゲーになりがち
「高校化学」は,物理や生物と違って,高校教科書範囲だけからは,深く考えるような問題を出しにくく,「作業ゲー」となりやすい科目です。
故に,塾は入試で登場する「すべての作業手順」を攻略しようとします。実際,理3に上50%で受かるような人は,「すべての作業手順攻略」ができてしまう頭を持ち合わせている,というレベル感です。
すると東大はどうするかというと,その型にはまらない,難しい問題を出そうとするわけで,大学範囲に突っ込むムリゲーに突入していったわけです。
これが,「2020年代東大化学(簡単になった2026年除く)のトレンド」といえるでしょう。塾が作り出した妖怪のようなものだと私は捉えています。
難問の泥沼にハマるくらいなら数学をやろう
持論:難易度がなんだろうが,やることは一切変わらない
2026年では理科他科目と同様に,化学も問題が簡単になりました。今後難易度がどうなるかは誰にも分かりませんが,私は
難問が来るかもしれないから,と難しい勉強ばかりするのは効果薄
と思っています。
「典型」8割,「発展」半分取れれば余裕で周りより上
なぜかというと,「化学で出てくるむずい問題は,対策しても結局点になりにくい」からです。
難しいテーマの場合どんなに勉強しても,知っているストーリーと少し違うだけで最後の答まで合わせにくくなりますし,計算がハードな問題の場合どんなに勉強しても,計算ミスなく最後までいきつく可能性は上がらないのです。
これは地頭のよさや化学力とは別次元の,人間の処理力の限界です。
では何を目指すべきか。「典型8割・発展半分」の得点を目指してください。この典型・発展というのは私が分類している難易度設定です(医学部化学対策記事参照)。
典型問題は,これは努力で正答率を上げられます。そこを落とさないことが極めて重要です。
その上で,さすがに東大ですから,発展的な問題もいくらかは取りたくて,過去問や化学の新演習を解けば,まぁ半分位は取りたい,というわけですね。
「典型8割・発展半分」を実行すると,点数としては35〜45点のレンジが取れると思います。
理1・2であればこれで十分ですし,理3では,化学得意な人は宇宙人目指して50点を目指せばよいと思いますが,化学は守りという人は,とりあえず40-45点のキープを目指します。
一部範囲の「よく出る難問」はやらざるを得ない
とはいうものの,有機の立体問題や,新規結晶を計算する問題やそれに関連して最新の電池についての問題など,あまりにも出題頻度が高い難問は周りの受験生も対策を練っていますから,こちらはやらざるを得ません。
過去問や東大模試で何度か見かけると思うので,その復習をしっかりします。
鉄緑会東大化学問題集(KADOKAWA)には,過去問の解説で難問への対処法・基礎理論が詳しく載っていますから,ぜひこの情報を有効活用するとよいです。
それを超える難問攻略に時間を溶かすなら数学をやろう
わたしが言いたいメッセージはひとつ。
塾と大学のイタチごっこに飲み込まれず,「周りの受験生より点を取る」ことに主眼を置くべし
です。まわりが取れる問題を取る。勉強しても一部の人しか取れないような難問には深入りしない。実にシンプルです。
東大模試ではむずかしい問題が出て不安になることもあるでしょう。まわりに宇宙人みたいに化学ができる人がいて不安になることもあるでしょう。
でも(理3以外なら)そんな人は一部です。そして,勉強しただけ点が取れるわけでもありません。
それなら,まだまだ未完成の数学をやって,小問1個でも当てた方が点数の期待値が高い場合が多いかと思います。
有機化学のむずすぎる話は,入学したあとの駒場でゆっくり勉強するとして,まずは入学を優先した方が良いのではないかなぁ,と思っています。
おわりに
第1回では,東大化学の全体像を見てきました。次回は各分野別の勉強法に迫ります。
高3化学を10クラス担当した豊富な経験から,答案をみながら10分話すだけで「東大化学で何点まで狙うべきか,どんな勉強からするべきか」が瞬時に分かります。
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